まずは“じっくり編”です。
ここでは数値的に色バランスをしっかり取って、その後味付けする手法でのレタッチを試みます。
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@ プレビュー フィルムスキャナーCanoScan2700Fで、デフォルトのままプレビューしてみました。 解像度設定は前回同様1360dpiです。
余談ですが、この画像はマックワールド2000のゼロックスブース内の
とあるコーナーで、ブース内部はかなり明るく、
ISO400で、レンズはEF85mm。露出は1/125のf3.5で撮った明るい画像です。 |
A 明るさ補正&スキャン アンダー画像を、スキャニング時に補正を掛ける事にします。 補正するトーンカーブは以下のように設定しました。 この状態でスキャンします。 |
B スキャン画像 本スキャン後に、IFでシャープ輪郭掛けた後の画像です。 今回、画像全体がRBY中心で構成される為、どうしてもシアンかぶりを起こしていますので 色バランスを取ることにします。 |
C 白バランス まずは基本の“白バランス”を取って見ます。バランスを取る際どの場所にするかが問題となります。 この画像の場合、単純に背景の白い部分でも取れそうな気がしますが、 ここは既に飛んでいてレンジオーバー気味なので、RGBの傾向をつかみにくくなっています。 そこで、彼女が手に持っているパンフの明るい部分(上図赤丸部分)で取る事にしました。 ここはRGBで200.250.250程度になっています。明らかなシアンかぶりです。 そこで、この値を全て"230"になるような補正を加えます。補正計算は以下の通りです。 230の理由は、各レンジの補正幅を出来るだけ小さくする為、各レンジの平均的数値とした為です。 |
<RED> R調整値 =(250-230)/250 ≒+15% |
<GREEN> G調整値 =(200-230)/200 ≒-8% |
<BLUE> B調整値 =(200-230)/200 ≒-8% |
D 明度UP バランスを取ったことで、パンフの所はRGBとも230になりました。 そしてこの部分を完全な白(RGB=255all)にします。 シャドー部をいじることなく、ハイライト部のみコントラスを上げてヒストグラムを引き伸ばします。 今回は“明るさ/コントラスト調整”で行います。 |
-補正計算-
明るさ補正 調整値 =((255-230)/2)/255 ≒+4% |
コントラスト補正 調整値 =100-(100/(255/230)) ≒+10% |
E 黒バランス 次ぎはシャドー部の黒バランスを取ります。 今回は、上の画像の赤丸部分(髪の毛の一番暗い所)としました。 ここはRGB=40.12.8程度になっています。 そこで、この値を全て"8"になるような補正を加えます。 補正に際しては、RGB各チャンネルにそれぞれ補正を加えます。
本来髪の毛は完全な黒ではありませんので、8allというのはおかしいのですが、
赤みが若干強そうなので、あえてRGB一定にしました。 |
-補正計算-
<RED> (明度) =(-30/2)/255 ≒-6% (コントラスト) =100-(100/((255-8)/(255-40))) ≒+13% |
<GREEN> (明度) =(-4/2)/255 ≒-1% (コントラスト) =100-(100/((255-8)/(255-12))) ≒+2% |
<BLUE> 補正無し |
一応これで色バランスも取れたことになりますが、果たしてこれが真の色なのか? というと、当然バッチリ合うはずはありませんので、更にレタッチを加える事とします。 |
F 彩度を落とす 一旦色を落としてその後味付けする方向でやってみます。 彩度減=-30% |
G RGB分割補正 黒バランス時と同様に、チャンネル分割し各々補正します。 補正値は、それぞれ白黒の画像&ヒストグラムを見ながら、狙いの色調になるよう、 経験値的に決定しました。 |
-補正計算-
<RED> (コントラスト)=+6% |
<GREEN> (明度)=+3% (γ補正)=×1.1 |
<BLUE> (コントラスト)=-4% (明度)=+2% |
H 最終補正 もうちょっと明るい絵が好きなので、若干明度を上げてできあがりです。 明度=+2% |
いかがでございましょう。今回はレタッチ講座用にあえて厳密な補正値計算してみましたが、 もちろんこんな面倒くさい計算を画像毎にやっているわけではありません。 色の数値管理は大まかには行ってますが、あとは見た目&経験値的にやっちゃいます。 |